南の方へ逃げ去った といって、
肴屋六兵衛が後ヶ谷村字砂の安五郎の隠居のところへ逃げて来て云うには、
右の次第で打擲にあい 歩行が出来兼ねるので、
岸村へ通達して下さいと申し、歎くので、
早々岸村へは沙汰に及び
かつ又肴屋六兵衛を呼び寄せ、委細承り糺(ただ)したところ
右の次第に相違なく、
一人は二十四、五才
一人は二十八、九才
一人は三十二、三才のものにて
三人とも絹布の頭巾をかぶり、長脇差を帯び股引脚絆をはいた旅装姿で
いずれも美しき身なりであったと申すので、
肴屋六兵衛の案内で、場所を見届けたところ
全く清水前の江戸海道に相違ありません。
右六兵衛は岸村へ送り返しました。
この段廻文を以てお知らせ申し上げますので
早々御順達下さ
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